KFCスペイン、大胆な顧客エンゲージメント戦略で「批判をファン」に変えた話
2026-03-07 21:53 Diff

KFC スペインは、革新性でユーモアを交えたメッセージ、そして卓越したフライドチキンでその評判を築いてきました。ブランドは常にクリエイティブの限界を押し広げ、ドライブスルーをテーマにしたレーストラックを開発するために Forza と提携したプロジェクト(カンヌでノミネート)から、スペインの顧客に響く遊び心がありながらも本物の声を維持する取り組みまで、挑戦を続けています。その過程で、KFC スペインは Braze を活用し、自社の声とマーケティング目標をさらに強化してきました。

しかし、最も革新的なブランドであっても、製品面での課題に直面することがあります。KFC スペインにとって、その課題はフライドポテトでした。これは市場でのリーダーシップを脅かす深刻な弱点となっていたのです。多くのブランドが過去の購買データをターゲティングやセグメンテーションのために活用する一方、KFC スペインはそのデータ、そして Braze の柔軟性を活かし、顧客との関係を再構築する道を選びました。

苦情をチャンスに変える

長年にわたり、顧客からの苦情はGoogleレビュー、ソーシャルメディア、直接のフィードバックなどを通じて測定されてきましたが、その中でフライドポテトは常にKFC体験の中で最も弱い部分として挙げられていました。顧客はオンラインでフライドポテトをからかい、何千件もの否定的なレビューやジョークがソーシャルメディア上に投稿されていました。競合他社がサイドメニューを改良していく中で、KFCはこの問題に正面から取り組む決断をしました。商品をより良くする必要があったのです。

しかしその後も、「すでにフライドポテトを拒絶した顧客」にどのように新商品を届けるか、という新たな課題がありました。KFCが今するべきことは、「新しくておいしくなりました」と宣伝することではなく、過去の失敗を認め、改善への本気度を示すことで信頼を取り戻すことだと気づきました。そこでKFCは「フライドポテト補償(Fries Compensation)」プログラムを立ち上げ、顧客データと統合テクノロジーを活用して、過去に不満を抱いた顧客一人ひとりにパーソナライズされた謝罪メッセージを送信しました。


顧客データを活用して信頼を取り戻す

KFCは、データをターゲティングのためではなく、スケールの大きい個別補償のために活用し、従来のパーソナライゼーションの概念を覆しました。ブランドは、数年分のCRMや取引データを分析し、過去にフライドポテトを購入した顧客を特定。そして、重要な人間的インサイトを導き出しました。――フライドポテトの購入には感情が伴う、ということです。顧客はただ「まずいフライドポテトが嫌い」なのではなく、商品に裏切られたときに「個人的にざんねんだった」と感じるのです。

フライドポテト補償プログラムの戦略は、影響を受けたすべての顧客を特定し、彼ら一人ひとりに対して現金ではなく「改良された新しいフライドフライドポテト」で誠意を示すというものでした。CRMの購買データを活用することで補償の内容を正確かつ適切に設計し、顧客が過去に購入した量と同じ分のフライドポテトを無料で受け取れるようにしました。今回の目的はただ一つ、心から楽しんでもらうことでした。

大規模にパーソナライズされた謝罪を実現

キャンペーンの実施は高度でありながらシームレスでした。KFCはBrazeの精密なターゲティング機能を活用し、特定された顧客に対して、ハイパーパーソナライズされたメール、アプリ通知、そしてソーシャルメディアでのエンゲージメントを通じてオファーを届けました。それぞれのメッセージでは、顧客の具体的な購買履歴に言及し、実際のフライドポテトの購入量に基づいて補償内容を調整しました。

このキャンペーンでは、Brazeの高度な自動化機能を活用し、カスタム属性やWebhookを組み合わせて、完全に自動化されたリワード配布システムを構築しました。補償対象となる顧客が特定されると、プラットフォームは自動的に以下のプロセスを実行。

  1. 過去のフライドポテト購入履歴を特定
  2. 一律の割引ではなく、個々の購入履歴に基づいたパーソナライズされた補償オファーを生成
  3. メール、アプリ内メッセージ(IAM)、プッシュ通知を通じて、ターゲットに応じたコミュニケーションを配信
  4. 統合APIを活用し、店舗でのリワード引き換えを管理
  5. エンゲージメントおよび交換に関する指標をリアルタイムでトラッキング

KFCの既存システム(キオスク端末のデータフィードを含む)との連携により、追加の大規模な開発リソースを必要とせずに、顧客ジャーニー全体を統合的に設計・実行することが可能になりました。さらに、キャンペーン全体のセグメンテーションはマーケティング担当者1名のみで実施されており、Brazeが複雑な顧客エンゲージメント施策においてもいかに効率的かつ強力であるかを示しています。

また、このキャンペーンは自社のデジタルチャネルを超えて展開されました。KFCはSNS上で顧客と直接やり取りし、過去のGoogleレビューにも返信して、「新しいフライドポテトを無料で試してみてください」と批判者に個別に呼びかけました。さらに、実際の顧客からの苦情を広告看板に掲載するなど、ブランドらしいユーモアと誠実さをもって、フライドポテトとブランドの両方を立て直す決意を示しました。

記録的な成果:フライドポテトの数だけ、笑顔も増える

「フライドポテト補償」キャンペーンは、あらゆるエンゲージメント指標でKFC史上最高のCRMキャンペーンとなりました。

・メールの開封率 95%
・アプリのダウンロード数 679%増加
・デイリーアクティブユーザー数 233%増加

特筆すべきは、17トンものフライドポテトを無料配布したにもかかわらず、キャンペーン初日にはKFC史上最高のアプリ売上を記録したことです。新しいメニューを試すために戻ってきた顧客が、追加で他のメニューも注文した結果でした。日次注文数は通常の20倍に達し、ブランドの誠実な姿勢が、短期的な成果だけでなく長期的なビジネス成長にもつながることを証明しました。

SNSの反響も驚くべきもので、4,200万件のインプレッション130万件のエンゲージメントを獲得しました。CRMでの直接的なつながり、SNSでの拡散、そして多くの人が参加した体験を組み合わせることで、KFCはかつての製品トラブルを一大成功へと転換させたのです。このキャンペーンは広く波及し、すべての人に「新しくておいしいフライドポテト」を味わってもらう機会を届けました。

重要なポイント

  • 顧客データを“つながりと償い”のために活用する:過去の購買データは、広告の精度を上げるだけでなく、信頼や関係を再構築する手段にもなります。
  • プロモーションよりも誠実さが力を持つ:過去の失敗を認め、真摯に償うことは、従来の宣伝よりも強いブランドロイヤルティを生み出します。
  • テクノロジーが“大規模な共感”を可能にする:適切なツールがあれば、複雑なキャンペーンでも人間味を感じさせることができます。Brazeは、KFCスペインがリワードの自動化、メッセージのパーソナライズ、そして全体の体験設計を、膨大な開発リソースを使わずに実現することを可能にしました。
  • ユーモアと誠実さがブランド愛を育てる:KFCスペインは、過去の失敗を隠すのではなく、率直さとユーモアをもって向き合うことで、製品の欠点を文化的な話題へと変え、顧客からの尊敬と共感を勝ち取りました。