【導入事例】データサイエンティスト主導の高速PDCAで休眠抑制に成功 マッチングアプリ「タップル」が実現した、ユーザー定着のためのエンゲージメント戦略 | Braze(ブレイズ)
2026-03-07 20:01 Diff

タップルの事業概要と、現在のマッチングアプリ市場における特徴についてお聞かせください。

タップルは主に20代前半の若年層を中心に、「気軽に恋愛を始めやすい体験」を提供している恋活・婚活アプリです。競合他社と比較しても、マッチング成立から実際に会うまでのハードルを下げる「おでかけ」機能など、行動につながりやすい仕組みに注力している点が特徴です。

また近年では、マイナンバーカードを用いた独身証明機能や、AIを活用したメッセージアシスト機能なども導入し、不安を感じやすい恋愛の初期ステップをサポートしながら、より真剣な出会いにつながる体験づくりを進めています。

現在の市場は成熟期にあり、以前はアプリを使うこと自体が新しい体験でしたが、今は利用する人としない人が明確に分かれています。特に最近は「マッチングアプリ疲れ」という言葉も聞かれるようになり、手軽さに加えて「マッチングの質」を重視するフェーズに移っていると感じています。

こうした市場成熟を踏まえ、タップルでは“出会いの質”を高めるため、データと技術を軸にした新たなマーケティング基盤の構築に踏み出しました。(高橋氏)

株式会社タップル VPoE執行役員 高橋 優介氏

Braze導入前、どのようなマーケティング上の課題を抱えていらっしゃったのでしょうか。

以前に導入していたマーケティングツールは、組織的な運用が定着せず、次第に活用が停滞していました。

一方で、マッチングアプリは広告によって新しいユーザーを獲得するのが基本的なビジネスモデルです。高いコストをかけて獲得したユーザーが、十分なエンゲージメントがないまま離脱・休眠してしまうのは、事業にとって非常に大きな損失でした。つまり、「ツールを使いこなせていない組織面の課題」と「休眠ユーザー対策が不十分という事業面の課題」という二つのギャップを抱えていたことになります。そこで、エンジニア側から「データと技術を軸に事業を伸ばすチャンスなのではないか」と考え、新しいマーケティングツールの導入を経営層に提案しました。(高橋氏)

複数のツールがある中で、Brazeを選定された理由や決め手となったポイントは何でしょうか。

複数のツールを比較検討した結果、Brazeを選定した最大の理由は、データウェアハウスであるSnowflakeとの親和性の高さでした。タップルではユーザーデータをすべてSnowflakeに集約しており、Brazeがそのデータを直接参照できる(Snowflakeデータシェアリング)点が大きな決め手となりました。

この仕組みによって、セグメント設計から施策実行までをSQLベースで完結できるようになり、データサイエンティストとエンジニアの少数体制でも高速に施策を回せる基盤が整いました。また、関わる人数が増えるほど施策スピードが落ちやすい中、「データはSnowflakeに集約し、施策はBrazeで素早く打つ」というシンプルな運用モデルが機動力の確保に大きく貢献しました。(高橋氏)

Braze導入時、本番運用までの期間や、オンボーディングのサポートについて、具体的にどのように進められましたか。

契約から約1〜2ヶ月という短期間で本番運用を開始できました。特に評価しているのは、Braze側の手厚いオンボーディングサポートです。

実装開始当初は時間がかかると想定していましたが、技術的な細かな点も含め、サポート担当の方と相談しながら進められたことで、想定と実際の実装で生じるギャップをその都度解消することができました。

その結果、予定通りリリースまで進めることができ、早期に運用を軌道に乗せられたと感じています。(高橋氏)

主にモバイルプッシュ通知を利用されていますが、このチャネルを選定した理由や、具体的な施策例と成果についてお聞かせください。

タップルはモバイルアプリであるため、ユーザー体験を妨げずにもっとも自然にコミュニケーションを取れるチャネルとして、まずはモバイルプッシュ通知を採用しました。アプリへの直接的な導線を作れるため、休眠抑制や再訪促進との相性も良いと判断しています。

コスト面からLINEなどの外部チャネルは今後の追加検討とし、まずはアプリ内で完結できるプッシュ通知から集中的に検証を進める方針を取りました。(新海氏)

株式会社サイバーエージェント データサイエンスセンター所属/タップル分析担当 新海 公章氏

運用面では、Brazeのセグメント機能やCDIセグメント機能を使い、ユーザーの属性や行動ログからセグメントを切り分け、最適化された通知を配信しました。特に、マッチングアプリならではの特徴として、男性/女性、有料会員/無料会員といったユーザー属性に応じて、体験が大きく異なります。そこで、それぞれの特性に合わせたメッセージを設計し、A/Bテストをひたすら繰り返しました。

施策の設計思想として、機能の訴求、報酬の提示、そして損失回避の3つの軸で検証を行いましたが、特に「損失回避」を訴求したメッセージが最も効果の高い傾向にありました。

例えば、一定期間ログインしていないユーザーに対して「プロフィールが表示されにくい状態になっています」といった通知を送ることで、セッション数が30%前後改善するケースも確認できました。(新海氏)

プッシュ通知の施策例

施策の成果について、Brazeの機能や性能で特に評価できるポイントは何でしょうか。

Brazeだからこそ、データサイエンティストとエンジニアのわずか2人体制で、週に1回のペースで施策を回す高速な検証が可能になりました。特に、データサイエンティストがSQLを書くことでSnowflake上のデータをそのまま参照し、即座にセグメントを生成できるCDIセグメント機能は非常に重要でした。データ同期の設計など複雑なプロセスを省略できるため、スポットで試す運用が実現しています。(高橋氏)

こうした取り組みによって、既存のログインユーザーや復帰ユーザーに向けたコミュニケーションが最適化され、アクティブユーザーの利用継続や日常的なエンゲージメント向上に大きく寄与しました。 Brazeは、継続的な利用を促進する運用基盤として非常に効果的だったと評価しています。(新海氏)

今後の展望についてお聞かせください。

これまではエンジニアとデータサイエンティストを中心に、高速に施策と検証を回してきましたが、今後はこの「勝ちパターン」を仕組み化・標準化し、ビジネス側のメンバーでも施策サイクルを自走できる体制を整えていきたいと考えています。検証サイクルそのものをテンプレート化し、誰でも同じ手順でPDCAを回せる状態にすることで、組織全体で効率的にエンゲージメントを高められる環境づくりを進めています。(新海氏)

すでにタップルでは、社内で開発したAI予測モデルによるセグメント情報をBrazeに連携し、より高度なパーソナライズ配信に取り組んでいます。今後はこうした取り組みをさらに広げ、Liquidやコネクテッドコンテンツ、アプリ内メッセージなどの未活用チャネルにも展開していきたいと考えています。特に、コネクテッドコンテンツを活用してBrazeのセグメント情報と組み合わせることで、アプリ内バナーなどのパーソナライズ表示も強化していく予定です。(高橋氏)